「AWS re:Invent 2022」に行ってきた!!  7日間合計12万オーバー歩いて分かったこと

reInvent2022 イベント会場 巨大スクリーン 複数人の参加者

ソニー・ミュージックエンタテインメントでクラウドエンジニアを務めている二十五時です。よろしくお願いします。

ソニー・ミュージックエンタテインメントでは、システムを稼働させる環境として、AWS(Amazon Web Services)が多く採用されておりますが、今回はそのAWSが年に一度主催するAWS最大のカンファレンスイベント「AWS re:Invent」参加レポートをお送りします。

開催から1ヶ月以上が経ち、他のテックブログなどでは、新サービスなどに触れているブログも多いですが、ソニー・ミュージックエンタテインメントからも10人を超える人数が参加しており、イベントの雰囲気とともに、なぜソニー・ミュージックエンタテインメントがシステムのイベントに参加するかをお伝えできればと思います。

ソニー・ミュージックエンタテインメントとAWS

ソニー・ミュージックエンタテインメントは2011年ごろからAWSを利用し始め、現在はほぼ全てのシステム開発をAWS上で行っています。過去にはAWS Summit Tokyoへの登壇や、re:Inventでの登壇の他、各種イベントなどへの参加も積極的に行ってきました。

AWS re:Inventと参加者

AWS re:Inventは、年に一度、AWSが主催するグローバルラーニングカンファレンスで、2022年の開催で11回目となります。

re:Invent会場の写真

SMEとしての最初の参加は、2018年。このときは2名が参加しました。それから徐々に人数を増やしながら、今年はソニー・ミュージックエンタテインメント内の7社から、18名(内AWS認定保有者は14名)が参加しています。
※AWS re:Invent 2022全体では約50,000人が参加(オンラインでは30万人以上が参加)。その内、日本からの参加者は約1,000人。

このAWS re:Inventは、5つのKeynoteを中心に、2,300以上のセッションがアメリカ合衆国のネバダ州ラスベガスにて、全6会場にて5日間かけて開催されます。非常に広い範囲で行われ、メイン会場となるThe Venetianというホテルから一番遠いMandalay Bayというホテルまでの距離を日本に置き換えると、新宿歌舞伎町付近から渋谷ストリームほどの距離というと、その広さがわかりやすいのではないでしょうか?

ホテルごとにセッションの分野(テーマ)は決まっているので、人により移動範囲は異なりますが、私の場合は、日本からラスベガスへ出発し、帰国する7日間合計で12万6,742歩、1日平均だと1万8,106歩も歩きました。日本にいると多くて数千歩なので、本当によく歩いた7日間でした。

私自身は、今回2度目のAWS re:Inventですが、それでも規模の大きさや、建物自体の大きさには驚かされます。もちろん皆さんがイメージする通りカジノの街でもあるのでメインストリートは華やかな街並みで、景色を眺めるだけでも飽きません。

ちなみに、ラスベガスのホテルは、ホテル自体にテーマがあり、メイン会場のホテルは名前の通りベネチアをイメージした作りになっています。他にもニューヨークや、パリをイメージしたホテルもあります(このあたりは、ここで語るよりも旅行情報誌などのほうを読むほうが良いとおもうので、詳しくはそちらへ笑)。

ラスベガスの街並み

AWS re:Inventの1日の流れ

AWS re:Invnt期間中は、朝のKeynoteへの参加と、各自が選んだセッションへの参加を軸に情報収集とAWSサービスについての勉強をしながら過ごしていくことになります。

参考イメージまでに1日の大まかな流れはこういった形になっています。

イベント当日の大まかなスケジュール

セッションは事前予約制で国内にいるときにあらかじめ自分が興味あるセッションを中心に席を予約していきます。いっぱいになったものは、並べば入れる可能性もあるので、あとは当日勝負。新発表のサービスは、Keynote中に追加されていくので、Keynote聞きながらセッションを取っていくことになります。

セッション自体は、レベル分け(初心者向け~エキスパートレベル)があったり、ブレイクアウトセッションであったり、自分も一緒に手を動かすようなブートキャンプやラボ型セッション、ディスカッション形式のチョークトーク形式のセッションなどいろいろなセッションがあるので、自分の英語力やAWSの知識レベルに合わせてセッションを選んでいきます。

私の場合は、レベル300のAdvancedレベル以上と、英語力には自信がないのでブレイクアウトセッションの中から、セキュリティの分野を中心に選択しました。

また、Keynoteとセッション以外に、AWSさんにコーディネートしていただいたEBCセッション(開発メンバーと直にお話できる場)にいくつか参加し、サービスについて開発メンバーの方とのミーティングも実施しました。ソニーミュージックでは、セキュリティ、データベース、サステナビリティのテーマで実施していただいています。

発表された新サービスの中では、Amazon Security Lakeに関して、SMEJ Guardrailでの利用の可能性について、発表直後から参加メンバーの中でも話題になったほか、私自身もセキュリティ関連のセッションの中で、サーバレスアーキテクチャのセキュリティについてのセッションが非常に興味深く印象的でした。

後述もしますが、ソニーミュージックでは非常に短期間での開発が求められるケースが多々あります。その中でセキュリティはある側面では開発を遅くする(対応の面倒さなどからも)とも言えますが、このセッションの中ではサーバレスアーキテクチャで出てくる複数の箇所について、その開発を妨げることがなくかつセキュリティレベルを下げることがない実装の方法についていくつかの例とともに語っています。

セッションの内容そのものもですが、ここで特に興味深いのは全ての方法がすでに準備されているマネージドサービスの組み合わせで実現できる点であり、多くの実装方法はベストプラクティスやWell-Architectとして提示されている点です。これは非常に素晴らしいことであり、AWSへの理解を深めることが短期開発や煩雑さからの回避ができるという点でメリットというのを改めて実感できたセッションだったことが印象的な理由です(そういう意味では、帰国後に見たこちらのセッションも面白かったです)。

あまり細かい話をしていると長くなるので個々のセッションについては多くは触れませんが、1日の大半をセッションへの参加で過ごしていく中で、Keynoteの開始前には、バンドのライブがあったり、DJのパフォーマンスも会場内の様々な場所で行われている他、最終日には、AWS re:Invnt恒例のre:Playという打ち上げパーティーのようなイベントも開催され、エンタテインメントも感じられるイベントになっています。

こう言った部分は正に現地で参加していないと味わえない部分ですし、さまざまな国から人が参加しているため、re:Play内のDJ会場では、色々な国の人たちと音楽を通したコミュニケーションを感じられる楽しい時間でした。

なぜソニーミュージックがAWS re:Inventに参加するか

こういった流れでAWS re:Inventへ参加してきた我々ですが、そろそろはじめにお話した、「なぜソニーミュージックがシステムのイベントに参加するか」という点について触れたいと思います。

1つは多くの方も言われているように、現地で参加することで、他の参加者も含めたリアルな熱を感じられる点です。

Keynoteで発表される新サービスやアップデートで、参加者が盛り上がる。これはイコール世界のAWSユーザが欲していたサービスであったり、アップデートだったと言えます。

他の参加者が盛り上がる中で、自分たちには関係ないなーだったり、盛り上がる気持ちに共感できないということは、もしかすると世界の流れから遅れているのかも?ということを実際に感じられます。

今回のKeynoteでも、データ分析にかかわる発表が多かったのですが、それで周りが盛り上がる中で私自信は焦りも感じていました。「分析する」というフェイズに入っている世界に対して、我々はまだデータを「集める」というところすらしっかり固められていないと感じたからです。

AWS re:InventのKeynoteや、いくつかのセッションはYouTubeなどでも公開され、あとから見ることは可能ですし、技術的な要素はドキュメントなどから学ぶことも可能です。しかし、私が感じたような焦りであったり、世界の盛り上がりの熱量を肌で感じられるのは、現地でしか得られない1つの大きなメリットだと思います。

re:Invent会場のようす

エンジニアへの期待値

もう1つは、ソニー・ミュージックエンタテインメントがシステムの会社ではないという点とも関わってくることだと思います。

他の記事でも書かれていますが、社内では日々すごいスピードで新しいサービスや企画が立ち上がり、短期間に開発や準備が行われていきます。そういった中で、エンジニア部門のメンバーには単に言われたシステムを作るだけ、準備するだけでなく、より良いものを作れるように関わることが求められます。

ここでイメージされるエンジニア像は、自律性があり、自ら提案・改善ができるエンジニア。

今回のAWS re:Inventはラーニングカンファレンスのため、これ使えば自社サービスが良くなるかも? これは新しい技術だから情報収集をしておこう、というように自ら参加していくような気持ちがないと、楽しめないイベントでもあります。しかし、裏を返すと、AWS re:Inventを楽しめるエンジニアが増えるのは、会社として期待しているようなエンジニアが増えることでもあります。

AWSre:Inventに参加して楽しめた人は、周りの人へ伝えたり広めることができるでしょう。残念ながら楽しめなかった人も、振り返りをしながら次回は楽しめるようになることで、会社全体で最新情報を追いながら、新しいサービス発表で盛り上がれるような文化を作り、その流れはAWS re:Inventだけでなく普段の業務へもつながると思います。

そういう意味で、AWS re:Inventへ参加することは、ある意味で自分の働き方を振り返るきっかけでもあり、エンジニア部門全体を成長させるきっかけの場でもあり、文化をつくり引いては会社全体やサービスをよりよくすることに繋がっていくと思っています。

Re:Invent会場のようすRe:Invent会場のようす

……と大層なことをいいながらも、実際には帰国してから、新サービスの詳細を調べたり、実際に自分たちのシステムにどう使っていくかというミッションもあり、参加者を含めたメンバーは大忙しなのも現実です。今回もセッション数は2300以上、今やAWSのサービス数も200を超えています。AWS re:Inventに参加したメンバーや、数人規模ですべてを理解して、有効活用するのは難しい規模です。

さて、最後になりますが、私たちは、ソニーミュージックグループで働きたいというエンジニアの皆さんのご連絡を常時募集中です。「この記事を読んでAWS re:Inventに行ってみたくなった」くらいの気軽な気持ちでもかまいません。AWSをこれから触ってみたい、勉強してみたいという初心者も大歓迎ですよ~!